解散先送りなら、「麻生降ろし」再燃も

麻生首相より小沢代表を支持、各社世論調査

世論の4分の3、「どっちも駄目」〔AFPBB News〕

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 それだけではない。自民党内の「麻生降ろし」の動きは、小沢の秘書逮捕で小休止したが、解散先送りとなれば再燃する可能性が高い。

 小沢の秘書逮捕後の世論調査では、民主党の支持率が下がったものの、麻生内閣の支持率が大幅上昇したわけでもない。例えば、3月8日付の毎日新聞によると、内閣支持率は16%(前回11%)、不支持率は66%(73%)。支持率は2割を切ったままで、他の報道各社も同様の傾向を示している。

 毎日新聞の調査によると、「どちらが首相にふさわしいか」の質問に対しては、麻生10%(8%)VS小沢13%(25%)。確かに小沢は激減したが、「どちらもふさわしくない」が73%(61%)だから、世論の4分の3は「小沢も麻生も駄目」と見放しているのだ。

 自民党のある関係者は、最高権力者を酷評する。「麻生が首相でいる限り、内閣支持率は上向かないし、解散もできない。麻生の支持率が低いのは、政策が原因ではない。首相として、議員として、人として権威も信頼もないからだ。この先、麻生が首相を続けても支持率は上がらないし、また失言が出てくる。いずれ自民党内で『麻生降ろし』が再燃するだろう」

 

「政府高官」問題、首相答弁が二転三転

麻生首相、中川前財務相の失態で陳謝

治らない「失言癖」
AFPBB News

 小沢の秘書逮捕後も、麻生は軽率な発言を繰り返した。西松建設の違法献金事件が「自民党には及ぶ可能性はない」と語った官房副長官・漆間巌をめぐる国会答弁のことだ。

 漆間は記者団とのオフレコ懇談で発言したため、当初は「政府高官」として報道されていた。だが、民主党幹事長の鳩山が「(違法献金事件は)検察側と政府筋の出来レース」と批判するなど、政界に大きな波紋が広がる。3月8日、官房長官の河村建夫が麻生の了解を得て、「政府高官は漆間」と明らかにしたうえで幕引きを図った。

 この間、麻生はいったん3月9日午前の参院予算委員会で、「オフレコの場での発言が誤って伝えられた」と報道側の誤りを指摘した。ところが、この日の午後には、「漆間氏の記憶と記者の受け止め方の間にズレがあった」と答弁を修正。夜になると、「報道が誤ったわけではない」と明言し、結局は最初の答弁を撤回した。ちなみに首相答弁をめぐっては、首相官邸詰めの記者団が官邸サイドに抗議していたという。

 事実関係をきちんと確かめず、麻生は思いつきで答弁しているのか。もしそうなら、全くの言語道断である。「ここまで来たら麻生政権で選挙を戦わざるを得ない」という与党議員は、首相の「失言癖」は治癒不能と覚悟した上で選挙に臨むしかない。