西松建設の違法献金事件。小沢一郎民主党代表の秘書が逮捕されても、麻生政権の支持率はさほど回復しない。麻生太郎首相が国のリーダーとして、国民から不信感を持たれている状況に変わりないのだ。それでも、麻生は「敵失」で気力を回復し、「居座り」に自信を深め始めた。衆院解散時期も、7月8~10日のイタリア・サミット(主要国首脳会議)後という観測が強まっている。(敬称略)

08年度第2次補正予算関連法が成立

敵失で居座りに自信?〔AFPBB News

 「財政出動を世界中で言っている時代でもある。そうしたことにきちんと対応しなければならない。言っただけで、実行できなければ『何だ』ということになる」

 3月15日のNHKインタビュー番組で、麻生は追加経済対策を柱とする2009年度補正予算案を成立させるまで、衆院解散に踏み切らないとの考えを示唆した。与党内には追加経済対策の骨格を掲げ、補正予算成立前に解散すべきだとの意見があるが、麻生の発言はこれに慎重姿勢を示したものだ。

 「4~5月の解散・総選挙は首相の頭にない」。自民党幹部はこう受け止めている。総務会長の笹川堯が言うように、衆院選の時期は「桜は散って海水パンツを履く頃」との見方が党内の大勢。一方、公明党は7月12日投開票の都議選前後の衆院選を嫌っている。これを考慮すれば、解散は7月下旬から8月以降、限りなく9月10日の任期満了に近づく可能性がある。

小沢辞任→民主混乱=自民の早期解散論

 もっとも、与党内にはこうした「解散先送り論」に反対する声もある。「解散するなら、追加景気対策を打ち出し、2009年度補正予算案の提出直後が望ましい。首相が決断するタイミングはそれしかない」。自民党のある幹部はこう断言する。「民主党を立ち直らせる時間的な余裕を与えてはいけない」というのが、その理由だ。

 西松建設事件の違法献金事件では、小沢が代表を辞任するか否かが焦点になった。この自民党幹部は「小沢辞任は既に織り込み済み」として次のように主張する。

 「小沢辞任後、民主党は『ポスト小沢』をめぐり混乱するだろう。岡田克也(副代表)にすんなり落ち着くかどうか。菅直人(代表代行)は黙っていまい。鳩山由紀夫(幹事長)もどう出るか、まだ分からない。小沢が掲げてきた政策路線を継承するのか、あるいは初めからやり直すのか。民主党の混乱が続く中で、解散した方がいいに決まっている。先送りして8月に総選挙とか、任期満了というのは、民主党に選挙態勢を整える時間的余裕を与えるだけだ」