ミャンマー軍政のトップ、ミン・アウン・フライン司令官(写真:Abaca/アフロ)

 軍事政権下で民主派の住民や運動家への弾圧が激化しているミャンマーで、軍政支持派の住民による自警民兵団が軍を補完する組織として“暗躍”している。抵抗を続ける「国民防衛軍(PDF)」のメンバーや支持者を探索するなどして軍など治安当局に協力している実態が明らかになってきている。

 地元の独立系メディアがこれまでに報じたところによると、2022年5月頃から中心都市ヤンゴンや第二の都市マンダレーなどで軍の兵士や警察官とは異なるグループが一般市民の家宅捜索や路上での通行人の検問、尋問を行い、そこで「PDF関係者」と判断された人物に対して逮捕や拷問を加えたり、さらにはその場で射殺したりしている事例が複数報告され始めたという。

「赤い作戦」を実行する非公式組織

 この非公式の組織は「トゥエー・タウ」と呼ばれている。今年4月ごろに組織され、その後「オペレーション・レッド(赤い作戦)」という軍政反対者を捜索する任務を実行していると伝えられ、住民は恐れているという。「トゥエー・タウ」はビルマ語で「血を飲む」という意味で不気味な名称だ。

「トゥエー・タウ」のメンバーは兵士や警察官のような制服を着用せず、一般市民と見分けがつかない服装で町中を巡回。さらに密告情報に基づく捜査、捜索を行っているという。