「共に民主党」代表の李在明氏(写真:ロイター/アフロ)

 韓国の最大野党「共に民主党」代表の李在明(イ・ジェミョン)氏が絶体絶命の危機に追い込まれた。李氏に関しては、少なくとも7つの疑惑について検察の捜査が進んでいたが、ここにきて一気に捜査が進展した。検察は、李氏の側近を相次いで逮捕・起訴し、李氏に対する取り調べも秒読みに入ったと見られる。

 国会において過半数を占める最大勢力でありながら最悪の事態にまで追い詰められた「共に民主党」は、「戦時体制」に入ったことを宣言、韓国政界における大統領府・検察vs野党の対立は極限状態にまで達している。

疑惑がボロボロと

 発端は、大統領選挙を6カ月後に控えた昨年9月にまで遡る。当時与党だった共に民主党の次期大統領候補として有力視されていた李在明氏に巨大な不正疑惑が浮かび上がった。李氏が城南市長在職当時、城南市の官民合同の大規模都市開発プロジェクトだった「大庄洞開発事業」で「火天大有」という会社が5000万ウォンの投資で4000億ウォンという膨大な利益を与えた事実が発覚した。李氏はこのプロジェクトの最終承認者であり、李氏の知人が「火天大有」の代表だったことなどから、李氏がこの不正疑惑の黒幕ではないかという疑いが浮上した。

 この事件を筆頭に李氏に対する疑惑が次から次へと浮かび上がった。李氏が城南市長在職当時、ネイバー、斗山建設、チャ病院などの企業から城南FCサッカー団の巨額の後援金を受け取り、事業上の便宜を提供したという疑惑、「サンバンウル」という下着大手企業から自分と夫人の弁護士費用を肩代わりしてもらったという疑惑などだった。

 当時は、共に民主党の大統領候補選出選挙を控えていた時だったこともあり、これらの疑惑はライバルの李洛淵(イ・ナクヨン)元首相側から提起されたもので、李洛淵元首相の支持者たちは李在明氏を警察や検察に告発した。

 しかし李在明氏は、各種の疑惑にもかかわらず、2021年10月の共に民主党の大統領候補選挙でライバルの李洛淵元首相を抑え、与党の公式候補となった。