ウクライナの都市を「大地から消し去れ」

 ロシアに追従するカディロフ首長は一般チェチェン人の激しい怒りを買っています。カディロフ一派の失脚を狙う反対派勢力はチェチェン内部で少なからず、存在します。政権基盤の脆弱なカディロフ一派はロシア・プーチン政権に依存するしかありません。

 もし、プーチン体制が揺らぐことがあれば、カディロフ一派の基盤は一気に瓦解するでしょう。カディロフ首長が必死になって、強硬発言をして、ウクライナを制圧しようとするのは、自らの命の危険もあるからなのでしょう。

 カディロフ首長がウクライナの都市を「大地から消し去れ」とまで言うのは、プーチン政権の動揺を見た上での、焦燥の裏返しと言えます。

 実際、プーチン大統領は、連邦警護局に命じ、10月25~27日にかけて、モスクワで内乱鎮圧を想定した演習を行っています。これは定期的なものとはいえ、プーチン大統領は欧米の諜報機関がロシアの体制転覆を画策していると主張しています。

 この演習には、 クーデターへの対処も含まれています。また、この演習と並行して、10月26日、ロシア軍は核兵器の搭載が可能なミサイルなど核戦力を使った軍事演習をも行っています。