(英エコノミスト誌 2022年10月15日号)
企業の利益を数十年にわたって押し上げ続けた原動力が失速している。逆回転する可能性もある。
米フェデックスはもう少しで離陸に失敗するところだった。
時は1973年。初の翌日配達サービスを開始した数カ月後に第1次石油ショックが世界経済を直撃し、創業間もない物流会社は破綻する運命にあるかに見えた。
時は流れて2022年。石油輸出国機構(OPEC)が10月5日に大幅減産方針を発表し、すでにぐらついている世界経済に再び衝撃波を送った今、燃料価格はフェデックスの懸念の一つでしかない。
貨物取扱量が伸び悩み、コストも高止まりしているために同社は9月に通期(2023年5月期)業績見通しを取り下げることを余儀なくされ、株価が20%を超える下げを記録し、110億ドルの時価総額が吹き飛んだ。
下方修正相次ぐ決算発表
フェデックスは以前から、景気全体の先行きを占う指標の一つと目されている。
今回もその評判は裏切られておらず、決算発表シーズンを迎えた米国ではあちこちの大企業が減益の見通しを示している。
10月6日には英国の石油メジャー、シェルが石油精製と石油化学事業の利益率が大幅に縮小する見通しを明らかにした。
その翌日には韓国サムスン電子が、営業利益が3年ぶりの減益になる見込みだと発表した。
米国株式会社を象徴する企業にも、同様に芳しくない情報を出しているところが少なくない。
フォード・モーターは、減益が予想される理由はいくつかあるが自動車部品の不足がとりわけ響いたと述べた。ナイキは、大量に積み上がったスポーツウエアの在庫整理に苦慮している。
米国を代表する巨大ハイテク企業でさえ、もはや不死身には見えない。
広告主がデジタルマーケティング予算を削り、インフレに不安を覚える消費者がスマートフォンの買い換えを延期していることを背景に、ハイテク大手は従業員の採用を凍結している。
10月12日発表のペプシコのように好調な決算もたまに見られるものの、景気全体が弾けていないことを浮き彫りにするだけとなっている。