(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
バイデン米大統領の中間選挙から次回大統領選挙に向けての新戦略が明らかとなってきた。
バイデン氏は2024年の大統領選への再出馬の意欲を示しながらも、母体の民主党の指名にはなお党内の抵抗があるとみている。そこでこれまでの政策の成果よりもドナルド・トランプ前大統領との戦いを訴え、トランプ氏を一度破った実績を最大の武器にする作戦をとるというのだ。だがこの作戦には民主党側にも批判的な意見が多い。
トランプ氏を名指しで攻撃
バイデン大統領は9月1日の主要演説でトランプ前大統領とその支持層を「米国や民主主義の敵」と断じ、近年では稀なほど闘争的姿勢を打ち出した。バイデン大統領は24分間の演説のほとんどをトランプ前大統領を中心とする「MAGA」共和党員への激烈な非難に終始した(MAGAは、「Make America Great Again:アメリカを再び偉大にする」という政治スローガンの頭文字)。
バイデン大統領は演説で「トランプとMAGA共和党員は民主主義と米国の敵だ」「MAGA共和党員は選挙結果を認めず、法の支配を守らない国家への脅威だ」などと糾弾した。