経済制裁がロシア国民の健康にどう影響するか
戦争が始まって以降、西側諸国の経済制裁が進められてきた。欧米や日本企業のロシアからの撤退、ロシア産の石油・ガスの輸入停止・削減など、さまざまな制裁が行われている。これによって、今後、徐々にロシア国民の社会生活に影響が生じるものとみられる。
そうなると、ロシア政府がヘルスケア政策として、酒やたばこを控えるよう市民に呼びかけたとしても、これまでのような平均寿命の延伸が進むかどうかわからなくなってくる。健康状態は、経済情勢に左右されるためだ。
ロシアでは、酒類やたばこの値段はそれほど高くないとされる。もし経済制裁の影響でロシア国民の社会生活が困窮すれば、依存状態や精神疾患が増えて、かつて見られたように飲酒や喫煙が高まったり、自殺する人が増えたりするかもしれない。その結果、平均寿命がさらに短期化する可能性もある。特に、男性の高齢者ではそうした変化が出やすいだろう。
そうなれば、政権にとっては支持基盤の弱体化という形で大きな打撃となることも考えられる。
戦争の長期化により、欧米では「ウクライナ疲れ」が起きつつあり、戦争報道への関心の低下がささやかれている。だが、経済制裁の影響を見るためには、引き続きウクライナでの戦況の推移とともに、ロシア国内の情勢の変化についても注意していく必要があるだろう。