高い自殺率も短命の要因か?
同じデータで、たばこについても見てみよう。ロシアの成人男性の喫煙率は、2020年時点で40%を超えている。これは、30%の日本より10ポイント高い。このことが高い死亡率の一因とみられる。ちなみに、女性はロシア13%、日本10%で大きな違いはない。
また、注目すべき点として、自殺も死因の上位に入っていることが挙げられる。ロシアの男性の人口10万人当たり自殺者数は、2019年時点で約44人。日本の22人の2倍の水準に相当する。じつはロシアでは、2000年代初めには90人を超えており、世界で最も自殺率の高い国となっていた。
なぜそこまで自殺率が高いのか。飲酒や喫煙への依存状態を含めて、高死亡率には精神疾患の側面があることが窺える。
女性の自殺については、ロシアも日本も人口10万人当たり約9人で同程度となっているが、ロシアの高齢男性は、長年続けてきた飲酒や喫煙により健康が損なわれているケースが多く、自殺を企図する人も多く出ているものと考えられる。こう考えると、ロシアの高齢者、特に男性の高齢者が持つ厭世観のようなマインドが浮かび上がってくるだろう。
今回の軍事侵攻では、こうした高齢者のマインドが政府のプロパガンダを疑うことなく信じることにつながり、政権の暴挙を黙認もしくは容認しているといった構図があるのかもしれない。