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当時ロシア農業銀行CEOだったドミトリー・パトルシェフ氏(2016年10月25日撮影、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(文:名越健郎)

健康不安説が完全に払拭できない中、ロシア大統領選挙が1年前倒しされ、プーチン不出馬との情報が流れている。そして後継は、4年前の農相就任時からダークホースとされてきた、盟友パトルシェフ安保会議書記の子息ドミトリー氏だという。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は6月17日、「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」の全体会合に登壇し、演説や発言を行った。発言に新味はなく、ウクライナ戦争の出口戦略も示さなかったが、声には張りがあり、健在を誇示した。

 3時間40分にわたった生中継イベントへの登場は、欧米や独立系メディアで報じられる癌説、パーキンソン病説など、健康不安を払拭する狙いがある。ただし、6月に予定された国民とのテレビ対話は延期になり、憲法で規定されている議会教書演説も1年以上行われていない。

 一方で、ロシアの通信アプリ「テレグラム」で話題の「SVR(対外情報庁)将軍」は、プーチン大統領の後継者問題で投稿を続け、ニコライ・パトルシェフ安保会議書記の長男、ドミトリー・パトルシェフ農相(44)が来年にも次期大統領に就任すると予測している。真偽は不明ながら、ロシアの政治専門家の間でも「ダークホース」と注目されている農相の人物像を探った。

大統領選を1年前倒しか?

 クレムリンの内情を知る立場にあるとされる「SVR将軍」は5月27日、「プーチンは次女のエカテリーナ・チーホノワを与党・統一ロシアの党首に、自らの後任の大統領にドミトリー・パトルシェフを起用することに大筋で同意した」と投稿した。

2021年サンクトペテルブルク国際経済フォーラムにオンライン参加したカテリーナ・チホノワ氏(写真:ロイター/アフロ)

 与党の支持が低下し、女性党首を求める声があることから、不人気のドミトリー・メドベージェフ党首(安保会議副議長)に代わる新党首として、モスクワ大学理事などを務める次女のエカテリーナさんが候補に挙がっているという。

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