写真はイメージです

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 小野寺元防衛大臣が国会で指摘したことにより、風力発電用の風車が防衛に大きな悪影響を与えていることが、新聞などでも論じられるようになりました。

(参考)YouTube「【国会中継】衆院 予算委員会① 2022年度補正予算案を質疑(2022年5月26日)

 風車がレーダーに悪影響を及ぼすことについては、自衛官であった時からこの目で見ています。もともと、レーダーに関わる自衛官には広く知られた事実でしたし、近年ではメディアでも指摘する声が聞かれます。

 良い機会なので、なぜ風車がレーダーに悪影響を及ぼすのか、そしてそれが日本の防衛にどれだけ悪影響となっているのかについて解説したいと思います。

周辺に多くの風車が存在する新屋演習場

 風車問題を語るうえで欠かすことのできない重要な事例をみていきましょう。

 地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(以下「アショア」)の山口県と秋田県への配備は断念され、現在洋上での代替案が進んでいます。その一番の理由は、むつみ演習場(山口県)にアショアを配備した場合、ブースターの近隣への落下が避けられないためとされています。