ウラル原油と北海ブレントの価格差拡大
露ウラル原油は経済制裁の影響を受け、北海ブレントと露ウラル原油の値差は2月24日のロシア軍のウクライナ全面侵攻以前は1バレル約3~4ドルでしたが、上記グラフのとおり現在では値差10倍以上になっています。
すなわち、油価上昇で最も恩恵を受けているのは露ウラル原油以外の原油ということになります。
ロシアの主要輸出原油はウラル原油(中質・サワー原油)ですが、ウラル原油以外にESPO原油やS-1ソーコル原油、S-2サハリンブレンドも輸出されており、この3種類の原油は軽質・スウィート原油です。
ロシアのラブロフ外相は「石油・ガスの利益は大きいので、制裁の影響はない」と述べていますが、これは単なる詭弁にすぎません。
2022年1~4月度のウラル原油平均油価は$84.68です。露財務省速報値によれば同期間の石油・ガス税収は49%になり、実態は上記グラフの通り、露国庫税収は油価に依存していることが再確認されたにすぎません。
ラブロフ外相が言う「欧米がダメなら、他の市場があるさ」のような状況ではありません。
既に、欧米向け石油(原油と石油製品)や露の欧州向け天然ガス輸出は減少開始。今後、影響は徐々に表面化するでしょう。