4回目の「重症化予防効果」は?
4回目接種を開始するにあたり、各国でその有効性についての確認が求められた。そこで、用いられたのが先行するイスラエルでの研究結果だ。日本でも4月27日に開催した厚生労働省の分科会(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会)で、いくつかの研究報告を確認している。
たとえば、イスラエル保健省のデータベースから、60歳以上の人でファイザー社ワクチンの4回目接種をした人、3回目接種までの人(対照群)をそれぞれ62万人以上解析した研究(*1)がある。厚生労働省はこの研究結果をもとにワクチンの有効性を計算した。
(*1)“Protection by a Fourth Dose of BNT162b2 against Omicron in Israel”
(Bar-On YM, Goldberg Y, Mandel M, et al, N Engl J Med 2022; 386:1712-1720)
その結果、感染予防効果は、対照群に対して接種から22─28日経過後に約50%、36─42日経過後に約33%、50─56日経過後に約9%と低下していた。一方、重症化予防効果は、接種から22─28日経過後に約71%、36─42日経過後に約77%と高い水準で維持されていた。
そうした結果を受けて、同部会の資料では、「3回目接種から4カ月以上経過した60歳以上の者において、オミクロン株流行期におけるファイザー社ワクチン4回目接種による感染予防効果は短期間しか持続しなかった一方、重症化予防効果は4回目接種後6週間減衰しなかったと報告されている」などとしている。
諸外国も4回目接種の目的を重症化防止に置いている。その結果、接種の対象者を3回目までのような成人全てとはせずに、高齢者や基礎疾患を持つ人などに限定している。