(英エコノミスト誌 2022年5月7日号)

太平洋の美しい島々に中国が海軍基地を造ろうとしているのはなぜか

 1942年8月、米軍主導の機動部隊がソロモン諸島の最も大きな島であるガダルカナル島に上陸し、太平洋戦争の流れを変えることになる攻撃を行った。

 作戦は駐留していた日本軍部隊を追い払い、米国からオーストラリアやニュージーランドへの補給線を断つ日本軍の計画を頓挫させ、日本を敗戦に追い込む要因になった後の戦いに欠かせない足がかりを連合国に与えた。

 となれば、太平洋地域の新たなライバルである中国が、そのソロモン諸島と安全保障協定を結んで軍事拠点を設けるかもしれないとの観測が浮上した3月下旬、米国とその同盟国が神経をとがらせたとしても不思議はない。

 ここ1カ月の間に米国とオーストラリアは大慌てで政府高官を派遣し、それを受けて中国とソロモン諸島は、中国の基地建設が差し迫っているとの見方を否定した。

 それでもオーストラリアのある閣僚は4月27日、中国がソロモン諸島に軍隊を送り込む「公算は非常に大きい」と予想した。

 安全保障協定の詳細な内容はまだ公表されていない。米国と太平洋地域の同盟国は新たな外交的関与を約束するとともに、もしこの協定が中国の大きな軍事プレゼンスに発展したらただでは済まないと脅しをかけた。

 だが、差し当たり、この一件は中国側にとって一勝となる。ただし大きな条件付きの勝利だ。

世界各地で基地探し

 中国が外国に保有する軍事基地は今のところ、2017年にジブチに設けた海軍基地だけだ。だが、基地を増やす取り組みは加速しており、その範囲も広がっている。

 米軍とその同盟国の政府当局者は、中国が2018年以降、少なくとも5カ国にアプローチし、それ以外にも十数カ国を基地開設の候補地として検討していると考えている(地図参照)。