しかし、自然に囲まれて、十分な広さがあるというのが、ここの強みでもあります。閉ざされた環境に限界を感じている方にとっては過ごしやすい場所であったはず。現在の来場者数は、実は良いバランスなのだと最近思うようになりました。

藤田 キャンプなどは、コロナ禍で需要が伸びました。ムーミンバレーパークには、アウトドアアクティビティに共通する要素もあると思います。

ハースト デイグランピングなどは今後企画したいと考えていますよ。あとは、メッツァビレッジでアウトドア(テント)サウナは開催しました。初年度は北欧の一大イベントである夏至祭も行いました。これも盛況でした。

藤田 サウナはウェルビーイングらしいコンテンツですね。夏至祭といえば北欧諸国の大切なイベントですし、自然との協調を感じます。

ハースト 広さと開放感があるので、ペット同伴でも入場できます。ムーミンバレーパークより一足早く開業したメッツァビレッジで、ペット同伴について検証しましたが、良いジャッジだったと思います。

 今後は、教育的要素も入れていきたいですね。ライブラリーカフェでストーリーテリングや、定期的に開催しているワークショップはその一端を担っています。

 思い返せば、開業当初は「ウェルビーイング」という言葉こそありませんでしたが、常に伏線として存在していたのだなと。今回のリニューアルによって、やっと具現化できたのだと思います。そしてコロナ禍は、パークが提供すべき価値をより鮮明に考える契機となりました。

藤田 ウェルビーイングをコンセプトに挙げるテーマパークは、おそらく日本初。今後にも期待したいと思います。今日はありがとうございました。

対談を終えて(藤田)

 ムーミンバレーパークの奥にある展示施設「コケムス」の2Fでは、企画展「ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展 -食べること、共に生きること-」が開催されています。コンヴィヴィアルとは、「宴会」や「ごちそう」「共生」という意味で、企画展ではムーミン谷の食文化とそれを取り巻く仲間たちの様子をさまざま角度から紹介しています。

 このコンヴィヴィアルという言葉は、“自立共生”という言葉でも表現されることがありますが、私にはウェルビーイングと同じ文脈に感じられます。幸せのあり方の多様化や、コロナ禍における組織社会の分断を経て、私たちはやっと、個々が本当に望む人生に手を伸ばしつつあるのではないでしょうか?

 ウェルビーイングとは、心身から健康で心地よい状態にあることを指します。飯能のムーミンバレーパークには、真の幸せを考えるヒントが、きっとあるはずです。

◎連載「日本社会を変えるウェルビーイングの大潮流」の記事一覧はこちら