ロシア軍による大虐殺が行われたブチャで、レイプされ殺害された遺体を調べるウクライナの警察官(4月6日、写真:ロイター/アフロ)

 またしてもロシアお得意の、無理筋だけの詭弁が出てきました。

 プーチンの「B面」というべきドミトリー・メドベージェフ「ロシア前大統領」が「経済制裁はロシアへの侵略行為と見なすことができる」(https://news.yahoo.co.jp/articles/5637d51c8d68917db0f59e1a2187e7624d22f8dd)と遠吠えしたのです。

 まあ、国際政治の常識から言って「経済制裁」が「侵略」であるわけがないのは明らかです。

 ここで弄そうとしている詭弁は、チンピラやくざのいちゃもんと大差がない。真に受けて反論する人も見ましたが、その価値も本来はありません。

 しかし、です。これをすべて「ロシア国内向けのプロパガンダ」として読むと、キャンキャン鳴くだけの遠吠えにも、納得がいく解釈が可能になってきます。

スピッツはロシア国内向けに吠える

 ロシア大本営は連戦連敗の事実を国民に告げていません。しかし、ネットがあるので半バレではあります。

 これについては「あれはみな、鬼畜米英のフェイクニュース」と強弁し、戦時プロパガンダで塗りつぶそうとします。いつの時代どこの国も同じですね。

 しかしここで「経済制裁」が「侵略戦争」と呼ぶのは、そのように騙されているロシア国民の生活感覚にはなかなかぴったりくる「キャッチフレーズ」になっているのです。

 4月に入り、経済制裁は峻厳化、ロシア国内では「ヒトものカネ」がどんどん回らなくなっている。

 特に「モノ」不足は露骨に国民の家計を直撃します。今まで「あった」ものが「なくなっていく」。

 政府も「戦時経済」への根本シフトを余儀なくされますが「対外戦争」もとい「特殊軍事行動」ではロシア勝利を印象付けられている。

 ところが「軍事力で無敗のロシアに勝てない鬼畜米英は、卑劣なことに『経済封鎖』でロシア国民を締め付ける策に出てきた」と演出してみせる。

 ブチャ大虐殺などは全部「フェイクニュース」。そういうプロパガンダです。