全豪テニス準決勝、ギリシャのチチパスとの試合で審判に「Look at me, look at me. Answer my question. Are you stupid?」と激しく抗議するメドベージェフ(1月28日、写真:AAP/アフロ)

 テニスの世界ランキング1位、ダニール・メドベージェフ(26)が「プーチン政権不支持」を表明しなければ「ウィンブルドン」全英オープンテニス・トーナメントへの出場を認められない(https://thedigestweb.com/tennis/detail/id=53814)というニュースが報じられ、世界各地で物議をかもしています。

 何かと憎たらしいけれど、憎まれっ子メドベージェフが見られないウィンブルドンはブーイングできなくて「つまらない」といった意見から、選手には罪はないので、大会から排除されるロシア人アスリートは皆「可哀そう」まで、様々な意見をネットで目にします。

 あなたはどうお考えになりますか?

 スポーツの世界に政治を持ち込むべきではない。あるいはロシア選手の出場停止は当然の処分でしょうか。

交戦国選手の隔離は必然の安全措置

 私の論調は徹底してリベラルですので、もしかすると「スポーツに国境はない」といった所説を期待されるかもしれません。

 しかし、芸術外交官としても長い年月働いてきた結論として、異論なく「出場停止」が妥当な判断と考えます。

 ロシアへの制裁。むろんその側面も重要です。今回ロシアが仕掛けている戦争は、原発攻撃や子供病院爆撃が端的に示すように明確な国際法違反です。

 しかし国内では報道規制が徹底され、3月18日にはロシアの「クリミア併合」8周年を祝う大規模祝典がモスクワで開かれ(https://www.bbc.com/japanese/video-60804200)ました。

 8万人収容のスタジアムからあふれた20万人の人々が「併合」と今回の「軍事行動」を「祝福する」愛国イベントが実施されている。

 ここに集まっているのはロシア「大本営発表」の「公式情報」を鵜呑みにする群衆で「クリミアの平和」を願って祈ったり、ウクライナからの「ネオナチ」掃討戦の勝利を祝ったりして英雄プーチンを賞賛している。

 まさに情報ファッショの状況です。

 これはビデオ(https://www.youtube.com/watch?v=0NZxNAZdHQo)があります。その模様を見てみると分かりますが、ナチスドイツのニュルンベルク党大会か、北朝鮮のマスゲームか、ファシズム特有の熱狂状況が見て取れます。

 もっともこれにはオチがあり、大半は公務員などが旗まで持たされて動員をかけられたものらしい(確かに主催者側が準備しなければこんなものは揃わないでしょう)。

 もっと手ひどいのは、さきほどのリンク(https://www.youtube.com/watch?v=0NZxNAZdHQo)の7分37秒から9分1秒まで、プーチン「大統領」の演説が戦闘行為の正当性に触れるあたりでロシア国営放送が途切れる(https://news.yahoo.co.jp/articles/e87a4286ca2245d49a74c8fa230bde9cb2155787)という椿事まで発生。

 ファシズムにつきものの内紛も、あちこちで狼煙が上がっているらしい。