「売り手市場」になっている中古マンション(写真の物件は本文とは関係ありません)

(山下和之:住宅ジャーナリスト)

 マンション価格の高騰が続いており、新築、中古ともに売り手優位の“売り手市場”が続いている。しかし、そのなかでも売りやすい物件があれば、売りにくい物件もある。購入時からそれをある程度意識して売りやすい物件を買っておけば、売却もスムーズに進んで、次のステージへの移行がスムーズになりそうだ。

首都圏マンションのリセールバリューは「100%超」に

 民間調査機関の東京カンテイでは、毎年マンションのリセールバリュー(再販価値)を調査している。竣工から10年が経過した分譲マンションのうち、現在中古流通している物件を抽出し、分譲時の価格と現在の価格から再販価値を算出している。数式を示すと次のようになる。

●リセールバリュー(%)=中古流通時の価格÷新築分譲時の価格×100

 たとえば、10年前の分譲時の価格が5000万円で、いま中古物件として6000万円で取引されているマンションがあるとすれば、上記算式にあてはめるとリセールバリューは120%になる。反対に現在の流通価格が4000万円に下がっていれば、リセールバリューは80%ということだ。

 マンションに限らず、クルマなどの耐久消費財は一定期間使っていると取引価格は次第に低下するのが普通だ。首都圏マンションのリセールバリューも次の【図表1】にあるように2018年には91.4%だった。10年間で資産価値が約1割低下したわけだ。景気の悪い時期には、10年間で取引価格が2割、3割と低下してもおかしくない。

【図表1】首都圏新築・中古マンションの平均坪単価の変化(出典:東京カンテイ『2020年中古マンションのリセールバリュー/首都圏』)

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