かつてロシア帝国が周辺民族を「農奴」として組み敷いていった背景には、ヴァイキングの習俗がある。

「略奪する首長」をピョートル「大帝」とあがめる大衆心理があり、プーチンは大統領選にあたってチェチェン「略奪」で大衆人気を得た経緯などを確認する必要があります。

 現在のどうしようもないウクライナ侵略を国民の8割が「支持」というのは、かつての日本で月曜午後8時45分に「この印籠が目に入らぬか」と水戸黄門が正体を現すと、昭和のおっさんおばはんが変なカタルシスに染まるのと似た、ロシア草の根の大衆心理を利用していると考えられます。

 土建社長の市会議員から経験を欠いたままいきなり国政中枢に成り上がったミロノフの「北海道発言」も、こうした流れの中で投じられた「紙爆弾」の一つでしかありません。

 しかし、その根は意外に深く、また癌は早期に退治するのが重要です。詳細には紙幅を擁しますので、別稿に譲ります。

 1917年のロシア革命は、第1次世界大戦の混乱と、それを収束させたスペイン風邪の爆発的流行の中、やっとロシアの頸木から解放されるはずであったウクライナはもとより、中央アジア、シベリアから極東沿海州に至る、広大な18世紀型「ロシア帝国」の旧領を温存、さらに拡大させるという過ちを犯しました。

 同じ時期、全世界の手によって解体された「オスマン・トルコ」同様、すでに歴史的役割を終えた「ロシア連邦」は、解体すべき時期に達しています。

 グローバル・パワーバランスとしては、すでに米中2大大国構造にシフトしており、中以下の国力しかないモスクワ首脳とたった90万人の軍勢では、広大な版図は防衛できません。

 その不足を恐怖政治で胡麻化してきた「こけおどし」戦法の実態が、「ブチャの虐殺」以降明らかになり、ロシアは本格的に国連でも孤立を深めています。

 2022年の経済封鎖でロシア社会は本格的に崩壊リスクと直面します。

 ロシアは一定の確率で、1991年にソ連が迎えたのと同様、レジーム・チェンジがあり得ます。そうした場合も念頭に、日本としては万全の備えをするべきでしょう。

「北海道発言」の周辺から垣間見られる各論については、稿を改めたいと思います。