土に埋められた木材は、そのまま腐敗して土壌を汚染した。汚染された土は、沼沢豊かなチョルノービリの地下水まで汚染した。

 伐採された「赤い森」には新しい苗木を植え付け、若い森の風景に変わっているから、視覚ではそのエリアを確認することはできない。

 それでも、実際の現地取材でその場所に近づいただけで、手元の線量計は危険を知らせるために雄叫びをあげる。爆発した4号炉をコンクリートで覆った通称「石棺」の建物から200メートルの位置と比べても、倍以上の放射線量を記録する。原発から30キロの立ち入り制限区域でも、とても危険な場所だ。

懸念されるロシア軍兵士の被曝情報

 実は、区域内の森林ではたびたび大規模な火災が発生しているが、消火にあたる地元の消防士は必ず線量計を身につける。それで一定の放射線量を超えると、人員の交代を優先させる。火災が起きる度に空間放射線量は必ず上昇する。

 そんな場所で本格的な戦闘を起こそうというのは愚行だと、ゼレンスキーは演説の中で指摘していたはずだった。

 よりにもよって「赤い森」に防護服もなしで立ち入り、しかも塹壕を掘るなんて、放射線の風呂に浸かるようなものだ。