――生活コストの見直しだけでなく、資金運用にも経験や知識が必要そうですね。
李さん:中国で理財(金融商品)や投資に対する知識を身に付けることは、ごく一般的なものだと思います。
筆者注:財経網によると2021年時点、中国で理財をはじめとする資産運用者数は8000万人を超えています。運用額も前年比で12%増加しています(「银行理财市场规模达29万亿元 去年为投资者创造收益近1万亿元」https://www.toutiao.com/article/7068921623838982669/)。
李さん:わたしだけでなく周囲のFIRE実践者もそうですが、不動産購入などの特定の大きな対象に投資をするのではなく、投資信託や保険商品などの幅広い領域で資産の運用を行っています。
資産運用も大事ですが、それ以上にいかに支出を抑えるか、特に住むところの選択が重要です。大都市ではなく3線都市4線都市といった、生活コストのあまりかからない地域への移住や、帰郷も考えている人もいます。
――FIREを実現しようとしているのはどのような方たちが多いですか。
李さん:27歳から35歳くらいの年齢で、比較的厳しい競争下で働いている方が多いように感じます。もともと大都市に住んでいたのではなく、大学進学などをきっかけに大都市に移り住んだ人ほど、競争疲れからFIREを志向しているように感じます。
――今後FIREを目指す人は増えていくのでしょうか。
李さん:FIREの認知度は高くなってきたと感じていますが、社会全体で議論されるにはまだまだ時間がかかると思います。大学の受験競争や就職競争の激化は継続しているので、早期リタイアを目指すキャリアはネット上で羨望されることはあっても、まだ広く受け入れられる考えにはならないでしょう。
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2021年、世界各国の富豪長者番付や中国企業格付けを行う「Hurun(胡润)」は、経済的自由を達成するための資産目標値を発表しました(「2021胡润财富自由门槛」https://www.hurun.net/zh-CN/Info/Detail?num=COYHXH5D4FMJ)。
それによると中国の地方都市においても600万元(約1億2000万円)が最低基準であり、大都市においては1900万元(約3億7000万円)の資産が必要とされています。中国の大卒平均初任給がまだ6000元に達していないことを考えると、経済的自由を収入増加のみで達成するには困難なのは明らかです。
現状、FIREの達成には相当の努力と忍耐が必要といえるでしょう。