ウクライナの美しい港町オデッサもロシア軍に破壊される恐れが強まっている。

 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、世界中が固唾を飲んでその行方を注視している。

 日米欧などの民主主義諸国にとっては、ウラジーミル・プーチン大統領が失脚するなどにより、ロシア政府の方針が大きく覆され、ロシア軍がウクライナ領土から撤退することが最も望ましい展開であることは間違いない。

 しかしながら、近日中にそのような事態が起きる望みは極めて薄いということが大方の共通認識となる中、世界中の国際政治学者や国際ジャーナリストが、それぞれの専門的知識や精力的な取材力を発揮して、今後予想される事態の展開について議論を戦わせている。

 今回のロシアの暴挙は、それを許せば今後の国際秩序の崩壊にもつながる大問題であり、日米欧諸国が先の展開を読んだ上で、今直ちに適切な手を打つためには、このような議論は極めて重要であろう。

 筆者は、35年間の陸上自衛隊勤務を通じ、戦車小隊長、戦車中隊長、普通科連隊長、師団長、方面総監として、数百回に及ぶ図上、実動の作戦シミュレーションを行って部隊を訓練してきた。

 その経験から、陸軍の作戦について実務者としてそれなりの土地勘を持っているつもりである。

 そこで本稿では、特に軍事作戦という視点から、現在進行中のロシア軍の作戦について、現時点における暫定的な分析を行うとともに、今後どのような展開があり得るのかについて考察していく。

 何ら特別の情報源を持っているわけではないので、公表された報道内容に基づく分析ではあるが、読者の皆さんが今後ニュースを読み解いていくための、何らかの参考としていただければ幸いである。