口を開けば「習近平思想」
その2日後、2月10日の午後、蔡奇書記は、北京市全16区の党委書記(区トップ)らを一堂に集めて、「基礎党建ブリーフィング評議会」を開いた。昨年一年の幹部たちの基礎党員建設活動の状況を、蔡奇書記が評述する会議だ。
16人の区委書記が一人ひとり、蔡奇書記に報告していく。そして一つひとつ、蔡書記が論評を与えていく。中国共産党で言う「自己批判形式」だ。そして蔡書記の決まり文句は、以下の通りだった。
「習近平総書記の北京に対する一連の重要講話の精神を深く学習することを貫徹するのだ。そして、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想を、北京の大地で、さらに一歩形成、生動させる実践を推進していく。それによって、よりよい生活がしたいという市民の要求を満足させていくのだ」
北京オリンピックの開会期間中に、その責任者である大会組織委会長は、いったい何をやっているのだろう? オリンピックの進行に支障はないのか。
ちなみに、華やかなオリンピックの陰で、今年の北京市の目標経済成長率は、全国30の地方の中で最低の5.0%だ(天津市のみ1月のロックダウンで未発表)。現在、少なからぬ北京市民が案じているのは、「今年5月に任期切れとなる蔡書記が再任されることがあるのか?」ということだ。