細胞を活性化させる「月岡温泉」の硫黄シグナル
温泉に入ると元気になる理由の一つに、温泉に含まれている成分がスイッチになって全身の細胞が活性化するということがあります。
たとえば、硫黄泉に多く含まれる硫化水素は、タマゴの腐ったような異臭を発し、濃度が上がりすぎると危険もあります。しかし、適度に体内に取り入れると、硫黄が血中を循環する「硫黄シグナル」によって細胞や遺伝子を刺激し活性化します。糖尿病患者に投与することで知られるインシュリンも、硫黄によって活性化することがわかっています。
温泉に入ってから2週間たっても毛根付近から硫黄が検出されるので、硫黄シグナルの効果も2週間程度は持続すると考えられています。
硫黄泉といって私が真っ先に思い浮かべるのは月岡温泉(新潟県)です。普通、硫黄泉は白く濁っているのですが、月岡温泉の湯は神秘的なエメラルドグリーンで、独特の異臭もほとんど感じられません。
月岡温泉は日本トップクラスの硫黄含有量があります。通常は硫黄と水素が結合して硫化水素になるのですが、月岡温泉では硫黄の濃度が高いため硫黄の原子どうしが共有結合しているようで、硫化水素が少ない。そのため硫黄泉でよくある白濁や異臭がなく、エメラルドグリーンに輝く美しい湯が楽しめます。