日本市場への再参入を決めた現代自動車(写真:ロイター/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 ここ最近、韓国企業による日本進出が相次いでいる。「ハリム」「ゼクシィミックス」「現代自動車」のそれぞれの可能性について見ていこう。

【タッカンマリカルグクス】

「韓国の有名な食品会社『ハリム』が日本の食品市場に挑戦状を突きつけた」と、2月7日に韓国のメディア各社が報じた。同社は、日本の流通専門企業とタッグを組み、「タッカンマリカルグクス」1万6500袋を日本に輸出したそうだ。

「タッㇰ(鶏)+ハン(一)+マリ(羽)」は韓国語特有の連音化によって「タッカンマリ」と発音される。文字通り、鶏を丸ごと煮た鍋料理で、辛くない韓国料理だ。また、タッカンマリとともに入れられている「カルグクス」は「カル(包丁)+クㇰス(麺)」という意味の料理で、一般的には日本のうどんに近い食べ物だと言われている。

 しかし、カルグクスとうどんは似て非なるものだ。カルグクスは、小麦粉を蕎麦切りの要領で平麺に切断し、あさりや鶏肉などと一緒に調理されることが多い。鍋料理のシメとして楽しまれることもあるし、ぜんざいのように小豆と共に食されることもある。

 ハリムの代表理事は、「簡便でありながらおいしく食べられる鶏肉製品を開発し、日本進出という成果を残した。今後も日本人らの趣向に合う多用な製品とマーケティング活動で市場を拡大していく」と意気込んでいる。

 日本のテレビショッピングを足掛かりにタッカンマリの認知度を高め、ゆくゆくはタッカンマリのレストランやスーパーなど小売りでの展開、オンライン販売にも乗り出す予定だという。

 果たして、彼らの目論見通り、日本人にすんなりと受け入れられるだろうか。

 タッカンマリは鶏一羽を丸ごと調理した料理のため、ブロイラー特有の細かい骨がたくさん含まれている。手で口から骨を取り出し、食卓に食べ殻を散乱させる韓国式の食べ方が日本で受け入れられれば問題ないが、家族同士であってもこのような食べ方は嫌がられるに違いない。日本人の食に対する美学に、タッカンマリは当てはまらないように感じる。