公捜処の「暴走」を後押しする文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 韓国で現在、文在寅韓国政権による民間人に対する「通信査察」に関する論議が沸騰している。

 文政権で新設された「高位公職者捜査処(公捜処)」が民間の通信会社に対し、野党の国会議員やその補佐官(秘書)、さらにはメディアの記者らに関し、通信履歴を含む個人情報の照会を頻繁に行っていることが明らかになったからだ。しかもその対象は、主婦や大学生についても及ぶことまで判明、まさに無差別的な通信照会の様相を呈しており、文在寅政権下において韓国社会が「暗黒化」、「監視国家化」している実態が白日の下に晒されつつある。

朝日新聞ソウル支局の韓国人記者もターゲットに

 通信資料照会の対象は驚くほど広範に広がっている。日本のメディアに勤務する筆者の知人の韓国人記者も「公捜処から通信照会を受けた」と打ち明ける。

「もしかしてと思い、自分が使用する移動通信会社のホームページを通じて情報提供照会を申し込んだところ、『昨年8月に公捜処に情報を提供した』との回答を受けた。通信内訳は公開されなかったが、住民登録番号(日本のマイナンバー)、氏名、住所まで提供された。周囲の話によると、日本メディアに勤めている韓国人記者もほとんどがやられたようだ」

 彼は、文在寅政府関係者や政治家への取材は各党の公報室を通じて、つまり正規のルートから行っていたという。つまり内部リークを受けたりするような取材スタイルは取っていないし、捜査対象となるような犯罪に関わる人物を取材したこともないという。その彼に対しても公捜処は情報を集めていた。

「(通信資料を照会した)理由を教えてほしいと公捜処に問い合わせたが、捜査に必要な照会で“マスコミ査察ではない”という答えだけが返ってきた。私がどんな捜査に関わっているのかも聞いていない」

 日本の朝日新聞も、ソウル支局に勤務する韓国人記者の個人情報が、公捜処から照会を受けた通信会社から提供されていたことを問題視、紙面でも報じている。