世界遺産に選ばれた「昌徳宮」(写真:New Picture Library/アフロ)

「佐渡金山」の世界遺産登録に反発する韓国。このまま日本政府が佐渡金山を世界遺産の候補として推薦すれば、「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録された「軍艦島」の時と同様、朝鮮人の“強制労働”があったとして、ユネスコ加盟国にその不当性を訴える構えだ。だが、韓国の人々は自国の世界遺産「昌徳宮」が大勢の国民の強制労働によって建てられたことを忘れている。韓国の保守論客、ファンドビルダー氏が語る韓国のダブルスタンダードの前編。

(ファンドビルダー:韓国コラムニスト)

 新潟県佐渡島の佐渡金山は、1601年から1989年まで運営されていた鉱山である。主に金と銀の採掘を行っていた。現在は、施設の一部が観光コースになっている。

 2021年12月28日、日本の文化審議会は佐渡金山をユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産の推薦候補として選定すると答申した。2022年2月1日までに、日本政府がユネスコ側に正式に登録推薦書を提出すれば、ユネスコ側は現地の実態調査などの手順を踏み、2023年に登録の可否を決定することになる。

 このニュースを聞いて、韓国がじっとしているはずがない。韓国メディアは何年も前から、佐渡金山に関連して扇動的な報道を続けてきた。

 例えば、2015年5月7日に、韓国の聯合ニュースはこのように報道した。

「国務総理所属の対日抗争期・強制動員被害調査支援委員会によれば、日本政府は2010年11月22日、ユネスコ世界遺産の予備リストに、新潟県の佐渡金山を登録した。佐渡金山は、朝鮮人が強制動員された場所だ」

 2018年8月14日、韓国日報も以下のように報道している。

「日本政府は、北海道と東北地方の縄文遺跡(新石器遺跡)を世界遺産候補に決めた。新潟県と佐渡市が申し込んだ佐渡金山は落選した。新潟県と佐渡市側は、佐渡金山の世界遺産登載を再申請する方針だが、佐渡金山は強制労働に動員された朝鮮人労働者が約1400人に達すると分かったところだ」

 今回、文化庁による佐渡金山の推薦発表の前後に、韓国メディアによる扇動報道が一層激しくなった。主なメディアの報道タイトルだけでも、下記のとおりだ。

・「朝鮮人強制労働」佐渡金山、世界遺産の日本候補で有力(2021.11.23.聯合ニュース、東亜日報、SBS、ハンギョレ、国民日報など)
・「朝鮮人強制労働」佐渡金山、ユネスコ登録推進・・・VANK「防ぐ」(2021.12.16.聯合ニュース)
・ソ・ギョンドク教授「佐渡金山、ユネスコ登録の前に強制労働の事実を先に知らせよう」(2021.12.23.聯合ニュース)
・「朝鮮人強制労働」日本の佐渡金山が世界遺産候補に決定(2021.12.27.聯合ニュースなど韓国の報道機関が一斉に報道)
・第二の軍艦島を防げ・・・政府、日佐渡金山の世界遺産登録、阻止総力(2021.12.28.聯合ニュース)
・軍艦島のように歴史歪曲・・・日本「佐渡金山」(2021.12.28.ハンギョレ)
・恥知らずな日本の登録推進・・・軍艦島の約束を守らねばならない(2021.12.30.KBS)