生活総括制度は金正日総書記が導入した(写真:AP/アフロ)

 人々が1日を振り返って新たな明日を計画し、実行することは良い習慣だ。だが、強要や統制による“振り返り”であれば、それは耐え難いものになる。

 北朝鮮には老若男女を問わず、自分の生活を振り返って批判する「生活総括制度」が存在する。世界で唯一、北朝鮮に存在する生活総括とはどのような制度なのだろうか。

(過去分は以下をご覧ください)
◎「北朝鮮25時」(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%83%AD+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)

(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)

 生活総括は、北朝鮮住民が生活の中で生じた公私ぞれぞれの問題を内省し、同僚などを批判する制度である。

 労働党だけでなく、青年同盟、職業総同盟、女性同盟といった生活組織の単位で、週ごと、月ごと、四半期ごと、年ごとに行われる。週の生活総括は毎週土曜日、月の生活総括は毎月最終土曜日、四半期の生活総括は3カ月ごとの最終木曜日、年の生活総括は年末の最後の週に行われる。

 毎週の生活総括では自己批判と、一緒に働く同僚の相互批判を行わなければならない。自己批判だけを行って同僚批判がないと、生活総括に参加しなかったとみなされる。生活総括は自身批判が80%、同僚に対する相互批判が20%を占める。

 生活総括の標準として提示されている教科書的な例は、次の通りだ。