バングラデシュの首都ダッカのモスク(資料写真、Pixabay)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 日本人も殺害されたダッカ・レストラン襲撃事件から5年。あの痛ましい事件が発生したバングラデシュで、ある変化が起きている。公立モスクの拠点づくりが急速に進んでいるのだ。

 一部のイスラム教徒に見られる思想の過激化への対策として、バングラデシュ政府は新たなモスク建設を通して「正しいイスラムの教え」を広めようとしている。

レストラン襲撃事件が契機に

 バングラデシュ英字紙「ザ・デイリースター」は6月11日、シェイク・ハシナ現政権が取り組む「モデルモスク」の建設事業を大きく取り上げた。モデルモスクとは、礼拝堂と、イスラム教の書籍を所蔵する図書館や研究所としての機能を併せ持つ施設だ。イスラム文化を普及させるとともに、人々にイスラム教を正しく理解させて実践させるための拠点となる。バングラデシュ政府は全国の560カ所にモデルモスクの建設を計画し、すでに50のモデルモスクが建設され活動を開始している。

 モデルモスクの建設は、2014年に行われた総選挙時にハシナ氏が掲げたマニフェストだったが、5年前のレストラン襲撃事件が契機となって建設が加速したという。