(姫田 小夏:ジャーナリスト)
中国の習近平国家主席は3月17日、バングラデシュの国父、ムジブル・ラーマン初代大統領の生誕100周年と同国独立50周年を祝うビデオメッセージを送った。
このメッセージで習主席は「『一帯一路』建設を共同で推進させ、2国間のパートナーシップをさらに強化させていく」と語った。中国がバングラデシュとの関係発展を重要視している姿勢が伺える。
バングラデシュは、中国が提唱する「一帯一路」構想に南アジアでいち早く賛同した国である。日本の菅義偉総理もビデオメッセージを送り「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けてバングラデシュと協力していく」と述べたが、2つのビデオを視聴したバングラデシュ人の友人は「習氏のメッセージのほうが菅氏のものより長いと感じた」という。
インド洋周辺国に積極投資する中国
日米豪印の枠組み「クアッド」が中国牽制に動き、ミャンマーでは政変が起きるなど、インド洋にさざ波が立ち始めている。そんななか、インドとミャンマーに挟まれたバングラデシュの重要性がこれまで以上に高まっている。
中国は消費する石油の70%以上を輸入に依存している。輸入する石油のうち80%以上が、インド洋からマラッカ海峡を通過して、南シナ海に面した港から中国に陸揚げされる(下の地図を参照)。一方、インド洋のベンガル湾からミャンマーを経由して中国にパイプラインで運ばれる石油や貨物もある。ミャンマーとバングラデシュは、中国とインド洋を陸路でつなぐ“結節点”にあたるため、中国は両国を取り込むべく積極的な投資を行ってきた。