中国人民解放軍の中距離弾道ミサイル「東風17」(2019年10月1日、写真:新華社/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

「日本が中国にとってのレッドライン(越えてはならない一線)を踏み越えたならば、中国人民解放軍は反撃するしか選択の余地はない」

 岸信夫防衛大臣や麻生太郎財務大臣が「台湾の防衛は日本の防衛に直結している」といった趣旨の見解を述べ、「中国が台湾に軍事侵攻するような事態が勃発した際には、集団的自衛権を発動してアメリカ軍と共に自衛隊が出動するであろう」といった内容の麻生氏のインタビューが「Nikkei Asia」に掲載されると、中国当局側は強く反発し、中国共産党系メディア(Global Times:環球時報英語版)は日本に対する上記のような警告を掲載した("Japan will dig its own grave if it crosses red line of Taiwan question" )。

 この文脈における「中国にとってのレッドラインを踏み越える」とは、外国勢力が、台湾の分離独立を図る叛乱分子を軍事的に支援して、叛乱分子を攻撃する中国と軍事的に対決することを意味している。

 環球時報によると「軍事的にアメリカに隷属しており、自律的戦闘能力を保持していない日本は、自らの意思のある独立国家として独自に中国と軍事的に対決することなど不可能であることを十分認識すべきである」といった趣旨の警告を発している。そして「中国人民解放軍が自衛隊の戦闘力を麻痺させることは極めて容易であり、軍事的に日本は中国に対して無力である」と恫喝している。