(写真:AP/アフロ)

 ベトナムの首都ハノイ警察当局は7月1日、オンラインチャンネルを運営するベトナム人記者レ・ヴァン・ドゥン氏(別名レ・ドゥン・ボバ氏)を「反国家的報道」の容疑で逮捕した。米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」がベトナム国営メディアの報道として1日に伝えた。

 ベトナムでは一党独裁を続けるベトナム共産党による厳しい報道統制、検閲が行われており、官製メディア以外の自由な報道は禁じられている。そのため官製メディアに属さないフリージャーナリストの活動はSNS上などに限定されているが、ここでも当局による検閲、摘発がなされており、場合によっては「反国家的報道」とされてしまう。そのため「報道、言論の自由」は存在しないのだ。

1カ月の逃走の後に逮捕

 RFAなどの報道によると、ドゥン氏は5月25日にハノイ市内の自宅を同氏逮捕のために訪れた警察の追及をかろうじて逃れて、その後「逃亡生活」を送っていたようだ。警察がドゥン氏の自宅を逮捕のために訪れた時、自宅にいたドゥン氏の妻ブイ・ティ・フエさん所有のラップトップのパソコンと携帯電話2台が警察によって押収されたが、ドゥン氏はなんとか難を逃れていた。

 行方をくらましていたドゥン氏のことを警察当局は諦めなかった。ドゥン氏の逮捕手配状を公表して官製メディアを通じてこれを全国に流布させ、情報提供を呼びかけるとともに各警察署に同氏の発見、逮捕を命じていた。