「ロケットデリバリー」を実践するクーパン(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(田中 美蘭:韓国ライター)

 韓国での生活に、今や欠かせないデリバリーサービス。アプリ一つでフードデリバリーから食品、生活必需品までありとあらゆる商品が注文できる。自宅まで配達をしてもらえるという利便性もあり、昨年のコロナ禍による自粛の際に需要は大幅に増した。オンラインショッピング関連企業がしのぎを削る現状は、まさに戦国時代と言える。

 中でも、「ロケット宅配(前日18~23時までに発注した際、明朝7~8時に玄関前に届けるサービス)」を提供するクーパンは「韓国のアマゾン」と称されるなど、その勢いと存在感は不動のものと思われた。だが、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長との関係を含め、そのクーパンを巡って様々な問題が続発している。

 そういう筆者もクーパンを重宝している一人である。以前は他社を利用していたが、品揃えが豊富であり、商品の到着が正確なこと、さらにレスポンスもしっかりしているという点が気に入り、クーパンに乗り換えた。

 例えば、食料品やトイレットペーパー、洗濯用洗剤など生活に欠かせない商品の大半がロケット配送の利用が可能で、当日中か、翌日の早朝までに自宅玄関まで届けてもらえる。そのため、アパート(日本で言う大世帯のマンション)などでは、朝になるとクーパンの商品が玄関先に置いてあるという光景が日常茶飯事だ。

 クーパンのアプリを見ながらの価格比較やまとめ買いが可能な上に、スーパーよりも安い場合も多く、主婦層を中心に高い人気を誇る。クーパンの存在は、大型スーパーにとっても脅威の存在と言っても過言ではない。

 ただ、企業としての快進撃が進む中、最近、特に問題視されているのが、ドライバーの激務と、それに伴う過労死などが相次いでいることだ。