その後、チャン氏は各種のテレビ番組に出演。「曺国(チョ・グク)や尹美香(ユン・ミヒャン)氏の疑惑よりも深刻だ」「計20件あまりの疑惑がある」「2件の文書を受け取ったが、一つは与党で、一つは政府機関で作られたものと聞いた」など、爆弾発言を続けた。

 しかし、「名誉毀損の恐れがあるため、内容は公開できない」とし、ファイルの内容については固く口を閉ざしたままだった。

ファイルの作成者は誰か

 尹前総長を迎え入れ、自党の大統領候補として次期大統領選に臨むつもりでいた「国民の力」にとっては、突如、身内から爆弾を投げつけられた格好で、党内に緊張が走った。そのため「尹錫悦Xファイル」について最初に言及した人物は「共に民主党」の宋永吉(ソン・ヨンギル)代表だとして、与党に対して「卑劣な政治工作を止めろ」と非難する一幕もあった。

 実際、宋代表は放送に出演し、数回にわたって公式的に「尹錫悦Xファイル」について言及していた。5月27日には「尹錫悦ファイルをきちんと整理している」と語り、6月10日にも「尹錫悦のXファイルを本当に持っているのか」という質問に対し、「検証資料を集めている」と答えた。だが「致命的な疑惑もあるのか」と尋ねられると、「それは言えない」と匂わせるに留めた。それでも、尹前検事総長サイドを揺さぶるには十分だった。