英国で開催されたG7サミット(写真:ZUMA Press/アフロ)

(山中 俊之:著述家/芸術文化観光専門職大学教授)

 2度目のロックダウンになったアフリカ・ウガンダ出身の友人は、自国の置かれた厳しい状況に憂慮しながら、「英国で開催されたG7サミットで、10億回分のワクチンを新興国に供給することが決まったことは大変に良いことだ。中国のワクチンはその有効性が不安だから」との心情を吐露していた。

 アフリカ諸国が置かれたワクチン接種状況は悲惨である。接種率は2%程度にとどまると言われる(2021年6月現在)。WHO(世界保健機関)が主導する新興国へのワクチン供給手段である「COVAX(コバックス)」は、新興国で18億回分のワクチン接種を目指していたが、進捗は遅い。

 アフリカは、国にもよるが、感染爆発を比較的抑えてきたと見られている。その要因については今後疫学的な分析が必要であろうが、エボラ熱など過去に感染症の恐怖に襲われ続けたアフリカ諸国の政府が、時として過激ともいえるロックダウンをとったことも一因かもしれないと考えている。

 感染拡大は一定抑えることができても、ワクチン接種では、明らかに先進国から周回遅れである。その中での、G7諸国の10億回分のワクチン供給は実現すれば僥倖であると思う。G7サミットの成果であろう。

 2年ぶりに対面で実施された今回のG7サミットでは、従来にも増して対中国で厳しい方向が打ち出された。近年G7は、世界経済において膨張する中国への砦となっている感がある。

 G7サミットの歴史を、G7にとってライバルであった対ソ連、対中国という視点から改めて見直してみたい。