新型コロナウイルス感染症との戦いの中で、医療従事者間の情報共有が進んでいる。日本集中治療医学会・第5回関東甲信越支部学術集会で会長を務める讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が、学会が果たす役割を掘り下げる。連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第52回。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックを機に本連載が始まってから1年が経ちました。

 1年前の第1波は、第3波や現在の第4波に比べれば感染者数は少なかったものの、まだ新型コロナについてわかっていなかったことが多く、かつ病床数・検査数の不足など医療体制が整っていなかった面もあって、非常に厳しい戦いを強いられました。その後なんとかしのいでこられたのは、病床の確保(埼玉県では3倍以上)や医療機関間の協力が進み、必要な検査ができるようになったと同時に、医療現場がウイルスに関する経験・知見を蓄積し、対応能力が向上したからでしょう。行政・現場が一致団結して頑張ってきた成果だと思います。

 それぞれの医療従事者は、自身の臨床経験に加えて情報共有によって知見を積み上げます。各現場レベルの情報共有、世界的に共有される論文、メールや電話による個別相対の情報交換・・・。

 学術集会、いわゆる“学会”も貴重な情報共有の機会です。実際、昨秋ベルギーのブリュッセルで開催された集中治療の国際学会や本年(2021年)2月の第48回日本集中治療医学会学術集会にオンラインで参加しましたが、そこでは新型コロナ感染症についてさまざまな最先端の情報が共有され、非常に勉強になりました。