最近こういうネット記事があった。「香港、電通から五輪放映権 政府、中止なら払い戻し」(共同通信、2021/5/11、https://this.kiji.is/764821866349019136)
その記事によると、「香港政府の林鄭月娥行政長官は11日、定例記者会見で、東京五輪の香港でのテレビ放映権を電通から買い取る契約を結んだことを明らかにした」。香港では民間テレビ局の経営悪化の理由から、政府が初めて五輪の放映権を購入を決めたということである。
電通は東京オリンピックのアジアの放映権を持っているのか? いつの間にそういうことが決まったのか。五輪組織委員会との間で決まったのか。また林鄭月娥長官は「東京五輪がコロナ流行の関係で取り消しになった場合は全額払い戻しを受ける」という。ということは、その場合、当然電通が全額払い戻すのだな。
いったい電通はオリンピックにどこまで食い込んでいるのか。前からちらほら電通の影が見えて気になっていたのである。野村萬斎氏の開会式演出の後任になった佐々木宏氏も元電通である。調べてみて驚いた。どこまで、どころか、オリンピックのすべてに食い込んでいたのである。間違いなく電通は、五輪開催を熱望している。
主要なスポーツイベントは全部電通
博報堂に18年間勤めた経験のある本間龍氏は、2017年発行の書籍『電通巨大利権』で次のようにいいきっている。「電通は2020年東京五輪の全てを取り仕切っている。全てとは招致活動からロゴ選定、スポンサー獲得、現在放映されているテレビやラジオCMをはじめとする五輪PR活動、そしてこれから開催までの3年間、全国で展開される五輪関係行事、さらには五輪本番の管理進行等、文字通り『全部』である」。
ということは、聖火リレーの沿道の市民に日の丸の小旗を配ったのもやはり電通だったんだな。本間氏は、東京五輪とは「電通の、電通による、電通のためのオリンピック」とまでいい切っている。
電通はいうまでもなく日本の広告代理店業界の「ガリバー」である。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4媒体における電通のシェア1位は数十年間不動である。売上高は約5兆1468億円。業界2位の博報堂が1兆4662億円、第3位のサイバーエージェントが4785億円と大きく差がついている(「【デジマチェーン解説】広告代理店とは?大手最新売上ランキング・全170社フル解説!主要媒体一覧付きの業界完全ガイド」Web担当者Forum、https://webtan.impress.co.jp/u/2021/02/24/39223)。