4月3日から開催されている競泳日本選手権で、100mバタフライで優勝し、東京五輪400mメドレーリレーの出場を決めた池江璃花子は、7日には100m自由形でも決勝進出を果たした(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 またしても不穏な空気が漂い始めている。東京五輪・パラリンピックの開催だ。開会式まで残り3カ月強と差し迫っているにもかかわらず、大会開催へのムードは盛り上がらない。

 それもそのはずだ。先月25日に聖火リレーがスタート。ところが参加を予定していた著名人らが次々と辞退するなど、出てくる話題はマイナス要素ばかりである。

大阪府、公道での聖火リレーを中止に

 さらには「第4波」とみられる新型コロナウイルスの感染再拡大が始まり、医療非常事態宣言を発出した大阪府は7日に府全域における公道での聖火リレーの中止を決めた。それでも東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は同日のリモート会見で大阪府側から代替案として一般観客を入れずに万博記念公園内で聖火リレーを行う要望があったことを明かし、詳細についても今後煮詰めていくという。

 しかしながら、その代替案も2日間で約200人もの聖火ランナーが万博記念公園の敷地内を走る見込みとされていることを考えれば、必ずしも「安全」とは言い難い。

 大阪府を筆頭に日本全国で変異株が猛威をふるう「第4波」が広がりつつある中、なぜ聖火リレーを強行しなければならないのか。誰もが首をかしげる疑問に関して武藤事務総長は「全国に聖火リレーが訪れていき、東京大会ながらも日本全体の五輪を示す重要なこと。児童・生徒にも五輪を実感して感じていただく大事なものと思う」と述べた。

 どちらかと言えば感情論もしくは精神論に重点を置く回答に終始し、感染再拡大の危険が迫っている現状には特に触れず、聖火リレー継続の安全性に納得のいくような言葉は残念なことに最後まで聞かれなかった。

3月25日、福島県のJヴィレッジからスタートした聖火リレー。第一走者となったのは2011年サッカー女子W杯で優勝を果たした「なでしこジャパン」のメンバー。トーチを持った岩清水梓を中心に丸山桂里奈などが参加した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)