アマゾンがサステナビリティー債で10億ドル調達
米アマゾン・ドット・コムが、同社初のサステナビリティー債を発行し、10億ドル(約1090億円)を調達したと、ロイターが5月10日に報じた。再生可能エネルギーやクリーンな輸送手段、持続可能な建築物のほか、手ごろな価格の住宅などに投資するという。
サステナビリティー債の発行は新たな枠組み「サステナブル・ボンド・フレームワーク」の一環。アマゾンは他の社債も発行し総額約185億ドル(約2兆円)を調達したという。これらの資金を既存、新規プロジェクトに投じる計画だ。
例えば、輸送用の電気自動車(EV)や電動自転車の購入などに充てる。同社が出資する新興EVメーカー、米リビアン・オートモーティブにはすでに10万の配送用EVを発注している。
また、米バージニア州アーリントンの第2本社で再生可能エネルギーを利用したオール電化の冷暖房システムを導入するなど、持続可能な建築プロジェクトにも使う。
年間100億個もの荷物を配達し、巨大なデータセンターを抱えるアマゾンは、環境活動家や従業員から対策を強化するよう求められている。こうした中、同社は物流事業で二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すプロジェクト「シップメント・ゼロ」を進めており、2030年までにその50%を達成するとしている。また、30年までに事業活動で使う電力を100%再生可能エネルギーに切り替える計画を明らかにしているが、今回この目標を25年に達成できる見込みだと明らかにした。
アマゾンの気候誓約に105団体参加
アマゾンは19年9月に、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の前事務局長、クリスティアナ・フィゲレス氏が創設した英グローバル・オプティミズムとともに、気候変動対策に関する誓約「クライメート・プレッジ」を発表。国際的な枠組み「パリ協定」の目標年より10年早い40年までにカーボンニュートラルを達成すると約束している。
20年12月9日、アマゾンは、この誓約に米マイクロソフト(MS)や、英蘭食品・日用品大手ユニリーバ、欧州の飲料大手コカ・コーラ・ヨーロピアン・パートナーズ、フィンランドの代替航空燃料大手ネステなど13社が署名したと明らかにした。米配車サービスのウーバーテクノロジーや米格安航空会社(LCC)のジェットブルー航空、リビアンも署名しており、21年4月21日には参加団体が、計105団体になったと明らかにした。
20年6月には気候変動対策を支援する投資基金「クライメート・プレッジ・ファンド」を創設。資金は当初20億ドル(約2200億円)で、運輸や物流、エネルギー、蓄電池、製造、資源循環、食品、農業といった幅広い分野を対象に、製品やサービス、技術を通じて対策に取り組む企業に投資する。アマゾンはこのほか、自社の基金「ライト・ナウ・クライメート・ファンド」を通じ、森林や湿地帯の保全・再生に1億ドル(約110億円)を拠出する計画も明らかにしている。