ロイヤル・ダッチ・シェル 本社(写真:Alamy/アフロ)

 三菱商事子会社の蘭電力会社エネコと英蘭石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルが、米アマゾン・ドット・コムに再生可能エネルギーによる電力を供給すると、ロイターが2月8日に報じた。

 エネコとシェルはオランダで出力計75万9000キロワットの洋上風力発電所を建設する計画で、2023年に稼働する予定。このうち、エネコは13万キロワット分を、シェルは25万キロワット分(計38万キロワット)をアマゾンに供給するという。

 三菱商事は20年3月に中部電力とともに41億ユーロ(約5200億円)を投じてエネコを買収した。日本の商社やシェルなどの石油大手は、クリーンエネルギーへの取り組みを強化するとともに、石炭・石油などの化石燃料からの脱却を進めている。

40年までに実質ゼロ、アマゾンやMSなど31社参加

 一方、年間100億個もの荷物を配達し、巨大なデータセンター抱えるアマゾンは、環境活動家や従業員から対策を強化するよう求められている。こうした中、同社は、物流事業からの二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すプロジェクト「シップメント・ゼロ」を立ち上げており、30年までに50%を達成する目標を掲げている。

 アマゾンは19年9月に、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の前事務局長、クリスティアナ・フィゲレス氏が創設した英グローバル・オプティミズムとともに、気候変動対策に関する誓約「クライメート・プレッジ」を発表。国際的な枠組み「パリ協定」の目標年よりも10年早い40年までにカーボンニュートラルを達成すると約束している。

 20年12月9日、アマゾンは、この誓約に米マイクロソフトや、英蘭食品・日用品大手ユニリーバ、欧州の飲料大手コカ・コーラ・ヨーロピアン・パートナーズ、フィンランドの代替航空燃料大手ネステなど13社が署名したと明らかにした。すでに米配車サービスのウーバーテクノロジーや米格安航空会社(LCC)のジェットブルー航空、米電気自動車(EV)メーカーの米リビアン・オートモーティブも署名しており、参加企業はアマゾンも含め、計31社になる

グーグルの「カーボン・ゼロ」、MSの「カーボン・ネガティブ」

 米テクノロジー大手のリーダーは気候変動対策に積極的な姿勢を示している。米アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は20年12月、オンラインで開催された国連などの首脳級会合「気候野心サミット」に参加し、より厳しい目標を実行するよう呼びかけた。同氏は「21年を危機から脱する年とするため、世界の企業や政府に対し、できることをすべて行うよう求める」と述べていた(ロイターの記事)。