アマゾン ロゴ(写真:アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが米国出品業者の身元確認を厳格化すると、米CNBCが5月7日に報じた。業者が公表している所在地にはがきを送付し、実在の名称・住所であるかどうかを確認するという。目的はコピー商品や安全不適合製品など悪質商品の流通を食い止めること。

米でも出品者の名前と所在地を公表

 2020年9月に米国で新ルールを適用し、出品者の名前と所在地の公表を義務付けた。同社は欧州や日本、メキシコでこれら情報の公表を義務付けているが、米国でも同様の措置を取った。

 取り組みの一環として、20年から新規出品者にはがきを送付している。21年初頭には一部の既存事業者にも送付。今回、この身元確認手続きをさらに広げることにした。

 アマゾンは、「安全で信頼できるショッピング体験を顧客に提供するため」と説明している。また、不正業者や不正商品を排除することで適正な販売業者も守れるとしている。

 出品者はまず、アマゾンの専用ウェブサイト「セラー・セントラル」で社名や氏名、住所が最新のものであることを確認して手続きを開始。送付されたはがきに記載されている認証コードをウェブサイトで入力すれば手続き完了。アマゾンが偽の住所と判断した場合はアカウントを停止するという。

 アマゾンが、外部の業者が商品を販売できる「マーケットプレイス」を本格展開したのは2000年。同社は収益性の高い外部業者の商品を積極的に取り扱う戦略を打ち出しており、今はその販売額が物品販売総額の半分以上を占めている。

 CNBCによると、アマゾンは現在、世界十数カ国でマーケットプレイスを運営しており、21年3月時点の参加企業は600万社以上になった。うち半分以上を北米が占めている。各国マーケットプレイスの中で米国が最大規模だという。

犯罪対策チームが知財当局に協力

 だが、そこには、偽造・模倣品や製品安全不適合品、期限切れ商品が数多くあると指摘されている。同社は対策として社内に法令遵守チームを設置して詳しく調べている。また、米国土安全保障省が所管する移民税関捜査局・全米知的財産権調整センター(IPRセンター)や欧州刑事警察機構(ユーロポール)、中国など世界各国の関連法執行機関と協力している。