女王も首相も率先してワクチン接種

 英日刊紙「ザ・タイムズ」の記者が注射打ちのボランティアに応募し、実技研修の模様を記事にしていたが、防護服の着用方法、被接種者への対応方法、応急措置などの実技を教えるインストラクターの1人は、セント・ジョン・アンビュランスの「非常に優秀なティーンエージャー」(おそらく16歳)だったという。また注射の打ち方は看護師が指導したそうである。

 同団体は、約1万人の注射打ちのボランティアの他、会場で被接種者のケアや緊急時の対応をするボランティア約2万人も養成している。

 これらの人々を含め、イングランドでは10万人規模の無給のボランティアがワクチン接種に携わり、受付、会場整理、データ入力、医師や看護師のサポートなどを行っている。筆者は自宅の近所の薬局で接種を受けたが、受付も案内係も60歳代くらいの白人の婦人だった。英国で暮らしていると、敬虔なクリスチャンが、色々なところでボランティアとして働いていることに感心させられる。

 こうしてワクチン・タスクフォースとNHSが同時並行で準備を進め、昨年12月2日に、英国は世界で初めてアストラゼネカのワクチンを承認し、12月8日に90歳の女性を第1号として、ワクチン接種プロジェクトを開始した。今年1月9日には94歳のエリザベス女王と99歳のフィリップ殿下も1回目の接種を受け、3月には年齢の順番がきたボリス・ジョンソン首相もアストラゼネカ製のワクチンの接種を受けた。

3月19日、アストラゼネカのワクチン接種を受けるボリス・ジョンソン首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)