我が国で気象庁が気温の観測を始めたのは1875年、明治8年の6月に遡ります。
いまだ西郷隆盛も、大久保利通も生きていた時期、岩倉具視遣欧使節団が帰国してしばらくというタイミングで、気象観測が始まっている。
試みに1年まるまる揃っている1876年の日本の月ごとの平均気温を見てみると

これと比較して、千葉県が大停電に襲われた一昨年、2019年の月ごとの気温を見てみると

地球温暖化は火を見るよりも明らかな事実であるのを改めて痛感させられます。分かりやすいようグラフでも見ておきましょう。

いまだ日本に近代的な工業が移入される以前、17世紀も18世紀も19世紀前半も、おおまかに「古来の日本の風土」は、江戸時代以降の各月の気温に関する限り、ざっくりと青いラインのようであったと思ってよさそうです。
松尾芭蕉が歩いた奥の細道も、近松が浄瑠璃を上演した大阪も、良寛や一茶がスズメと遊んだのも、ざっとブルーのラインであったと考えることにしましょう。
そこで、日本の近代化が進むにつれ、気候変動がどのように起きていたのか、いくつかの点を選んでチェックしてみます。