為替リスクをかわす「為替ヘッジ」

 外国資産を対象にした投資信託の中には、為替リスクをかわすことができるものがあります。「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2つのコースを設けている投資信託がそれです。
 (外国資産を対象にした投資信託であっても「為替ヘッジあり」のコースがないものもあります。これはもう、為替リスクを覚悟するしかなさそうです)

 この「為替ヘッジ」が、為替リスクをかわす方法です。「為替ヘッジあり」のコースを選べば、為替リスクをかわすことができるのです。
 ヘッジは英語でhedgeと書き、「避ける」という意味があります。
 つまり、為替ヘッジとは、文字通り「為替リスクをかわす」という意味にとることができそうです。
 そして、この為替ヘッジで為替リスクをかわすことで、外国資産であっても価格変動のみの勝負をすることができそうです。

リスクをかわす為替変動というリスクをかわすことが為替ヘッジの目的

 が、実際には、為替ヘッジによって為替リスクを100%かわせるというわけではないようです。
 投資信託の交付目論見書などを読んでいると、為替ヘッジについて「完全に為替の影響を回避できると保証されているわけではありません」と書かれています。

 ですので、交付目論見書の「リスク」の一覧が書かれたページには、「為替ヘッジあり」のコースであろうとも、「為替リスク」の旨が書かれています。

 なお、筆者は、いまだ為替ヘッジが「為替の影響を回避できなかった」瞬間をとらえたことがありません(笑)。ぜひ一度、拝見したいと思ってはいるのですが。

為替ヘッジは外国通貨と円貨の金利差で決まる

 さて、「為替ヘッジあり」のコースを選ぶことにより、為替リスクを少なくとも「ある程度」かわすことができそうなことが分かりました。

 ところで、為替ヘッジとは、どのように行うのでしょうか?
 為替ヘッジは「為替予約取引」を活用することで、「現時点で、あらかじめ将来の為替レートを確定させておく」というものです。本来なら将来の為替レートは分からないのですが、それを事前に決めておいたうえで外国通貨(ドルなど)を売買するという取引です。
 「未来への投資」のはずですが、「確定」という言葉が入り、そこはかとなく安堵感を得ることができました。
 が、先述の通り、為替ヘッジには「為替リスクを完全に回避できる保証」はありません。

 ところで、為替ヘッジを行う、つまり為替予約取引を行うときは、コストがかかります。このコストは、外国通貨と円貨の短期金利の差によって決まります。
 式で表すと、以下のようになります。

(外国通貨の金利) - (円貨の金利)

 この差が為替予約取引、すなわち為替ヘッジのコストであり、「ヘッジコスト」と呼ばれています。

ヘッジコスト

 このヘッジコストは基準価額に反映されます。つまり、ヘッジコストの分だけ、基準価額がマイナスになると思って差し支えないでしょう。
 ですので、交付目論見書の終盤の方に載っている「費用」の欄には、ヘッジコストの旨は書かれていません。ヘッジコストはあくまで基準価額の変動要因のひとつであり、購入時手数料や信託報酬などの手数料とはまったく別のものです。