連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第45回。緊急時用の医療体制への迅速なシフトなど、日本がイギリスに学ぶべき点とは?イギリスの新型コロナウイルス感染症対応について、讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が英レスター大学の鈴木亨教授に訊く。
この年末年始、イギリスではイギリス型変異株によって感染爆発が起こりました。しかし、その後落ち着き、現在は他のヨーロッパ諸国と比べて低い水準に感染を抑えられています。イギリスではどのような対策が取られているのでしょうか。イギリスの循環器治療の中核病院であるレスター大学に6年前に着任され、当地の医療現場で闘っている鈴木亨先生にお話を伺いました。
讃井 まずイギリスの感染状況から教えてください。
鈴木 今年1月初旬には、最大で1日に約6万8000人の新規感染者が発生しましたが、今は10分の1以下にまで減っています。これは、ロックダウンの効果があったからだと推察されます。しかし、フランスやイタリアで感染者が増え、さらにエストニア、ハンガリーをはじめとする東欧で感染爆発が起こっており、それが今後波及してくるかもしれないので油断はできません。