この計画について米ブルームバーグは、業界の専門家が予想していた以上に野心的だと報じた。「アップルは自社の技術力に自信を持っており、強い意志で着実に計画を進めている」という。

 すでに発売した「M1」チップ搭載の3製品は、アップルのパソコンとしては廉価な部類に入る。ブルームバーグによると、アップルはM1の後継となる新チップを開発中で、デスクトップの普及モデル「iMac」や高性能デスクトップ「iMac Pro」、デスクトップの最上位モデル「Mac Pro」などに搭載する計画。「完成すれば、米インテル製チップを備える現行Macの性能をはるかに超えるパソコンになる」と専門家は話している。

 また、ブルームバーグは20年12月、アップルが無線通信モデムの開発を始めたと報じた。同社のハードウエア技術担当ジョニー・スルージ上級副社長が会議で社員に伝えたという。

 同氏は「20年にアップル初の通信モデムの開発に着手した。新たな戦略的移行を可能にするものだ」と述べたという。アップルは19年にインテルのスマートフォン向けモデム事業を約10億ドル(約1100億円)で買収した。この買収がモデム技術開発チーム発足の基盤になったとブルームバーグは報じている。アップルは今後、こうした通信用半導体の自社開発も強化していくようだ。

欧州の主要テクノロジー拠点

 米CNBCによると、ドイツ・ミュンヘンは欧州の主要テクノロジー拠点の1つで、数多くのテック大手がR&D施設を構えている。グーグルはミュンヘンで約1000人の技術者を雇っているという。独BMWや独アウディなどの自動車大手の拠点でもあり、アップルは開発中とされる「アップル・カー」のために人材を引き抜く可能性もあると報じている。

 一方、欧州連合(EU)の欧州委員会は3月9日、30年までのデジタルトランスフォーメーション(DX)構想を発表した。この中で、域内での次世代半導体生産を金額ベースで世界全体の20%超と、現在の2倍にすること(WSJ)や、すべての人口密集地域を5Gでカバーすることなどを掲げている。

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