初めに断っておくが、私は悲観論者ではない。また、常に「大恐慌が来る」と脅かしてきたわけではない。
2009年1月に執筆した『日本「復活」の最終シナリオ』の中では、2008年9月に起きたリーマンショックが「戦前型大恐慌が起きない理由」を説明した。
事実、大恐慌が起きるどころか、今年までに米国株は市場最高値を更新してきた。
しかし、アフターコロナが見えてきた米国株は大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、米国の債券とドルも大暴落するリスクが高い。
加えて、リーマンショックに際しては瞬時に形成された国際協調体制は、今は機能不全だ。
そうなると、第2次世界大戦後初めての事態であり、「21世紀型大恐慌」に至るリスクが高い。
どうしても警告しなくてはいけないと思い、2020年11月に「21世紀型大恐慌」(PHP出版)を書いた。詳しくはこちらを参照してほしい。
今回は、米株式に絞って暴落へのメカニズムを説明しよう。
大いなる割高
まず、暴落する時には、常に株式は過大評価されている。いまの 米国株がそうである。次に掲げる1枚のグラフには、米国の経済とマーケットのエッセンスが詰まっている。
すぐ目に着くのが、GAMFAなどが含まれるナスダック(NASDAQ)指数(赤い線)がコロナが広がった当初こそは下げたものの、そこから今年の2月までに6割近くも上昇したことだ。
GAMFAの企業価値(時価総額)だけで日本のGDP(国内総生産)を上回っている。
株価水準の過熱度を表す株価収益率(PER)で見た時には、ナスダックのPER(緑の線)は70倍を超えている。今年の純利益の70年分も買われていることになる。