新型コロナウイルス感染症のパンデミック(コロナ禍)は世界と日本の変化を加速する。2050年の世界と日本を大胆に予測してみた。
「人類の安全保障」
いまは2050年である。
2020年から始まった激動と混乱の時代がようやく終わり、新しい世界秩序が始まった。
植民地支配の時代の1914年の第1次世界大戦から自由貿易が開始された1945年の第2次世界大戦の終結までの30年間を上回る変化が起きた。
史上初めて「人類は一つ」という原則とすべての人類に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することが新しい世界秩序の原則として世界のほぼすべての国家と民族によって承認された。
「地球の安全保障」
人類が初めて自らを一つの種であることを承認した最大の理由は、過去30年間で加速度的に進行した地球温暖化と気候変動による激甚災害の増加だった。
アジアの水源であるヒマラヤやヨーロッパアルプスの氷河がなくなり、世界的な水争いが国家間の紛争を続発させた。
北極の氷は完全に溶け世界の水位は上昇して多くの島国が消滅した。
ブラジルの熱帯雨林はかつての5分の1程度になり、二酸化炭素の吸収力は低下した。
母なる地球は厳然と存在するが住民である人類は絶滅するかもしれないという危機感が、国家や民族や人種をファーストとする考えを押し流してしまった。