ルーズベルト大統領のニューディール政策でゴールデンゲートブリッジやフーバーダム、全米を網羅する高速道路網などが建設された

 大きな政府の時代が来る。

 これが今回の米大統領選挙の帰結になるだろう。

 大きな政府の時代は、米国では1970年代末まで続いた。当時の米国債金利は15%、FRB(連邦準備制度理事会)の政策金利は20%に達していた。

 これから米国債金利は上昇し、ここまで伸びきった米国の国債、株式、為替が大暴落のリスクを抱えていること、世界最大の米国資産保有国の日本は、国民資金を守るために、すぐに保険をかけるべきことは前回述べた。

 ドナルド・トランプ大統領は、グローバリゼーションで見捨てられた米中西部の工業地帯、白人労働者層に初めて手を差し伸べた。

「アメリカを一つにする」ことを打ち出したジョー・バイデン新大統領が誕生すれば、中西部の白人を中心としたトランプ大統領の支持者にも手を差し伸べ、それに加えて東海岸、西海岸の非白人を中心とした都市の貧困層に手を差し伸べるだろう。

 新型コロナウイルスとセフティネットの少ない米社会のあり方が、それまでにも格差社会の拡大に苦しんでいたこうした1億人近い困窮層を直撃したからだ。

 すでに選挙中の公約において両候補は200兆円を超える大規模な社会福祉、所得保障を中心とした「エンタイトルメント」政策を打ち出した。

 エンタイトルメントへの支出のための国債もFRBが購入し続けるのだろうか?

 おそらくそうするしかないだろう。リーマンショックからの金融危機対応として始めたFRBの「量的緩和(QE)」が変質する。

 米国の経済政策は1970年代型に回帰していくのではないか。そのときには、国債消化困難、金利上昇、につながるだろう。