ロシアの政治で大きな力をもつレニングラード人脈(写真は旧レニングラード、現サンクトペテルブルク)

プロローグ:
プーチン大統領年次教書発表遅延

 ロシア(露)のV.プーチン大統領(68歳)の大統領年次教書発表が遅れています。

 プーチン大統領は2016年までは年内に大統領年次教書を発表してきましたが、2017年には発表されず、2018年以降は翌年の年次教書発表になりました。

 ロシア各紙は2021年1月、「今年の大統領年次教書は2月中旬発表予定」と報じてきました。ところが、その年次教書発表が当初の予定より遅れているのです。

 その後、2月18日に配信されたロシアの「独立新聞」(電子版)は、ロシア大統領府D.ぺスコフ報道官の発言として「コロナ対策に専念するため、大統領年次教書発表予定は2月から春に延期された」と報じています。

 果たして本当でしょうか?

 結論から先に書きます。昨(2020)年1月15日に年次教書発表と同時にD.メドベージェフ首相は辞任表明。翌16日にはM.ミシュースチン首相(テクノクラート)が誕生しました。

 筆者は、今年も年次教書発表と同時に内閣を解散して、ロシアに新首相が誕生するだろうと予想しておりました。

 ところが、今年はプーチン大統領周辺の利権派閥間において水面下の権力闘争が勃発・激化しているとの噂が流れています。

 もしこれが本当なら、今年の年次教書内容と新内閣人事が固まらないことが年次教書発表遅延の背景ではないか、と筆者は推測しております。

 本稿では、年次教書発表遅延が何に起因して何を意味するのか、最新のロシア情勢に基づき、筆者の個人的分析をご披露させていただきます。